Sep 07, 2005

"MC"

MC(2005)

DISCASで借りたブツ開陳。

よく言われる“Hip-Hopの四大要素”(ブレイクダンス/グラフティ/DJ/MC)の中で、(タイトル通り)"MC"にスポットを当て、「音楽業界の中で巨大な存在になったHip-Hop、それを支える実力派MCは、何を考えラップするのか?」を問うた一品。 主な登場人物は、KRS-One/Rakim/Common/Ghostface、後はWill.I.Am(Black Eyed Peas)やTwista、Kanye West辺りかな。 こう言った面子が、「俺が考える“MCとは?”」を語る、と言うかなり硬派な作り。 いや、これ完全にマジなドキュメンタリーで、ライヴ映像は、数秒映るかそこらがチラチラ出てくるだけです。 だから、エンタメな感じを期待して見ちゃダメですよ。

まぁ、今から10年位前('93〜'95年辺りかな)の音楽誌を賑わした「Hip-Hopとは何ぞや?」「Hip-Hopの本質とは?」と言うケンケンガクガクを経験した身からすると、“あー、何を今更仰いますやら”と言う感じなんですが。

それにしても、あれは今から思えば不毛な議論でしたなぁ。 いや、不毛じゃないか。 実際、かの文化のルーツである(陽の当たらなかった)作品とか知る事出来たし、それによって他所様の文化を真摯に受け止めることが出来たし。 …でも、今となっては不毛な議論になってしまったのは、あっち(US)のHip-Hopが変質してしまって、過去からの文化を継承した作品よりも、そんな文脈を軽く無視した、お手軽作品が次々チャートに入ってきて商業的に大成功しちゃったせいですか。 Hip-Hopの良さは、(“所謂”「ストリートの声」によって)ニセモノを本物が凌駕する、その自浄作用にあった訳なんですが、やっぱり業界としは、売るものが(ラジオでかかる楽曲であったり、CDであったりする)パッケージ商品である以上、大衆には擦り寄らなければならず、出すものが全て、かつてはニセモノと呼ばれた類のクオリティでしか無くなる訳ですよ。 …そうすると、今まで熱い議論をやっていた雑誌とかは紹介するブツが無くなるし。 それじゃー、雑誌も方向転換(と言うか、手のひら返し)をせざるを得んですわね。

とは言え、あっち(US)のメインストリームのHip-Hopの支持層は、そんなこと無関係ですからネェ。 そう言う層/世代に向けて、キチンと文化の継承を行う目的で作られたこのフィルムは意義があるかと。

個人的に、CanibusやMethod Manのアカペラのフリースタイルを、KRS-One/Common/Jurassic 5のメンバーが論評するシーンとか、コマーシャルでフロウがへなちょこだと思っていたKanye Westが、熱い口調で語り倒す箇所とか(だからこんなこともやったんだろうナァ)、色々オモロかったですよ。 音と映像だけで楽しめると言う作品ではないのですが、こう言う「文化」に興味ある人なら、是非観て欲しい証言の数々、マジお勧めです。

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